無想庵コラムCOLUMN

千年翠 一月の銘

千年翠 一月の銘

千年翠(せんねんのみどり)

「松樹千年翠」は 茶席の掛け物にもよく使われる禅語ですね。松の緑はいつまでも変わりないので、長寿や多幸を願う言葉です。正月の席にもよく掛かります。確かこのコラムでも茶掛けのカテゴリーで2年前くらいに取り上げたことがあったと思います。

右のような一行書の掛け物ばかりでなく、お道具や上生菓子の銘にも付けられています。銘に長さの制限はないですが、大概は漢字でいえば2~3文字くらいが多いですので、「千年の翠」という銘になります。

確かに常緑の松は紅葉のような変化がないので、視覚的なインパクトは小さいかもしれませんが、松は昔から「松・竹・梅」というようにめでたさの象徴として大事にされてきました。老松と言われるよう松樹は季節が移り変わっても悠然として翠を保ち、千年の時を経ても変わらないイメージがあります。(工業化の近代では千年も切り倒されない方が奇跡ですが…)

松樹(しょうじゅ)千年の翠(みどり) 時の人の意(こころ)に入らず

上がこの対句ですが、「人の意に入らず」とは誰も気に留めない、気付いていないという意味で、松の不変なる堅固さの凄さにだれも目を留めてない、大事なことを素通りしてしまっているという戒めの句なのです。上句がなんかお目出度い感じなので、つい正月に使うのが当たり前で、(実際、今月の銘で取り上げていますし…)本来の意味とか考えることを忘れがちですが、禅語って意味が深いのですね~。

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