無想庵コラムCOLUMN

幾千代 一月の銘

幾千代 一月の銘

幾千代(いくちよ)

コトバンクによれば『どれくらい多くの年代。また、非常に多くの代。何千代。 』と説明があります。つまり未来永劫といった意味です。もちろんお目出度い言葉ですから、新年に相応しい銘ということになります。

良いお道具には大概銘は付いていますが、特に茶杓はお稽古でも「お茶杓のご銘は?」と問答しますよね? 『幾千代』という銘で有名な茶杓があります。光格天皇という方のお作の茶匙玄々斎が写した竹茶杓「幾千代」です。

玄々斎は禁中への献茶の儀を旨とする口上書を内裏へ提出しました。その後、慶応元年(1865)にこれが聞き届けられ、禁裏での献茶が実現しました。これを記念して玄々斎が「和巾点」の点前を再興したという逸話があります。先ほどの玄々斎が写した竹茶杓「幾千代」と絡めて、(玄々斎繋がりだと思いますが)和巾の時の茶杓の銘は幾千代とするとよいという人もいるようです。

玄々斎のお作りになった『幾千代』だけでなく、今でも多くの幾千代の銘のお茶杓が売られています。確かに銘がいいので、茶杓の景色(見栄え?雰囲気?みたいなもの)が良ければ欲しくなりますよね。

もちろん銘は、茶杓だけでなく他のお道具やお菓子に付けても良いですし、実際、抹茶の銘柄でも存在します。

今回、イメージ画像が全然なかったので、幾千代橋の写真を冒頭に使いました。広島県廿日市市の毛保川に架かる橋で、大頭神社から妹背の滝に向かう途中にある橋だそうです。

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