水月 八月の銘とお菓子
水月(すいげつ)
水月とは文字通り、水面に映る月影のこと。またそこから転じて、万物には実体がなく、空虚であることのたとえにも用いられています。
照る月も影水底に映りけり似たる物なき恋もするかな(中宮内侍)
照る月も、影が水底に映り、水の様子によって変わるのである。似ることのない人それぞれの恋であるなあといった感じの意味でしょうか。
多くの銘は道具だけでなく、茶席での主菓子として多くの生菓子にも銘として使われています。今回も水月という銘の生菓子をいくつかご紹介したいと思います。(食べたことがないものもありますが…)
生菓子 水月
京都の四条烏丸にある有名な和菓子屋さん、末富さんのお菓子で右の写真はこの水月という銘の菓子がです。
銘は、もちろん水に映る月の意ですが、水面に光る月そのものを見事に表しているお菓子ですね。この綺麗な琥珀製のお菓子の作り方は、寒天を煮溶かし、砂糖で甘みを、くちなしの実で黄色く色をつけて作っているそうです。売っているのは竿状になっていますが、お茶席では、これを輪切りにしてお出しします。末富さんの菓子の代表作だそうです。
因みに末富さんは超有名なので他の菓子も代表的で有名なものが多いです。お菓子の御製を聞かれたら末富と言えば、格がだいぶ上がります(笑)