無想庵コラムCOLUMN

薫風 五月の銘

薫風 五月の銘

薫風(くんぷう)とは初夏の若葉や青葉の香りを含んだ穏やかな風のことを言います。読み下して「風薫る(かぜかおる)」ともよく言われますよね。初夏の時候の言葉で、俳句ですと夏の季語になります。

お茶の世界でも、五月は炉を閉じ、初風炉(しょぶろ)と言って風炉で点前を致します。ですので、茶席の夏バージョンですね!

桜も散り、若葉が香るこの季節に、茶席の床には「 薫風自南来 」というお軸がよく掛かります。私も大好きな茶掛けの一つですが、出典は唐の時代の漢詩からです。正確には二人によってそれぞれ前節、後節と分けてつくられたようです。唐の文宗が、最初の2行の「起」「承」を、のこる「転」「結」2行を柳公権という人が作ったようです。

  • 人皆苦炎熱(人みな炎熱に苦しむ)
  • 我愛夏日長(我夏の日の長きを愛す)
  • 薫風自南来(薫風南より来る)
  • 殿閣生微涼(殿閣微涼を生ず)

大慧禅師はこの詩から大悟を得たということから、禅語となったと伝えられています。

私的には悟りは程遠いですが、初夏を感じ、爽やかな気分になれるのでお軸を買い求めるのなら、ぜひお勧めしたい一本です。

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