下萌 二月の銘とお菓子
下萌(したもえ)
これは、冬枯れの地面から草の芽が顔をのぞかせる様子をいいます。 意味を解説しますと、
まだまだ外気は冷たいが、草はいち早く春の気配を感じ取って、萌え出る。
寒さに身も心もかじかんでいた人間も、立春が過ぎるあたりから、なんとなく背筋が伸びるような気分になって来る。
そういう春の感じを象徴的に表すのが「下萌」という季語です。
俳句や連歌にもよく出てくる題材で、有名な句としては 星野立子の 『下萌えぬ人間それに従ひぬ』という句。
星野立子という人は、有名な俳人である高浜虚子の次女だそうで、虚子は「ホトトギス」を長男の高浜年尾に継がせましたが、俳人としての天稟(才能)は、この立子にありとしていたようです。
下萌えというご銘の茶杓です。
生菓子 下萌
多くの銘は道具だけでなく、茶席での主菓子として多くの生菓子にも銘として使われています。今回も下萌という銘の生菓子をいくつかご紹介したいと思います。(食べたことがないものもありますが…)
右の末富さんご製の下萌は、 よもぎを練り込んだ小豆こし餡を道明寺の餅生地で、 包み、その表面に氷餅をまぶしまして、雪を表現しています。 よもぎをお使いになっているところが春らしいですね。