無想庵コラムCOLUMN

花のことをもう少し知ろう①葉序と花序

花のことをもう少し知ろう①葉序と花序

花の種類を見分ける、覚えるためには色とか形に目が行きがちですが、似たような花が非常に多く、品種改良やら新種やらが多彩なので何色はこの花という覚え方は出来ません。近年の天候不順で春や秋が短くなって来ていますので、従来の四季に沿った開花時期も随分重なって来てしまい、何月はこの花というような覚え方も先入観が邪魔をしてしまいます。自分で育てるなど毎日花や草木に接するのが一番良い方法だとは思いますが、忙しい毎日ですからそれも中々大変ですね。

そこで、私は苦手な?な茶花を覚える為にどういう風に観察すれば良いか自分なりに工夫してみました。花の形や色に加えて、花の付き方、葉の生え方(もちろん形も)を観察すると随分理解が深まり、見分けも付きやすくなってきました。園芸家ではないので、そんなに専門的な知識は要らないと思いますが、基礎知識ぐらいは知っておかないと話が通じない、他の人に教えてもらう時に特徴を伝えられないということになりますので、基本的なことだけここで一緒に学んでいきたいと思います。このページでは葉の生え方(葉序)と花の付き方(花序)の二つを勉強したいと思います。

葉序(ようじょ)

葉序とは普段、全く用語として使うことは無いですが、植物の葉が茎に対して配列するときの様式をいいます。要するに葉っぱの生え方ということですが、 もっとも普通の葉序は、一つの節に1枚の葉がつく場合で、 互生葉序(互生) 言います。 バラとかタバコなど多数あり ます。互生葉序は多くの場合、葉は茎の周りに螺旋(らせん)状に配列することになるので、螺旋葉序とも言われています。

次に、同一節上に2枚の葉をつける ナデシコ科など は 対生葉序(対生) と言います。(図中央) 対生葉序の場合、一つの節に2葉がつくと、その一つ上の節の2葉は茎を中心として下の2葉と直角の位置、すなわち茎を上あるいは下から見たとき、葉が十字状に配列して見えることから十字対生葉序(十字対生)と呼ばれています。

同一節上に3枚以上の葉を生じる キョウチクトウなどは 輪生葉序(輪生) (図右) と言われます。

因みにひまわりの葉の付き方(葉序)を真上から見るとこんな感じです。

花序(かじょ)

次に花序とは何か説明します。花序もあまり普段の生活では聞きませんが、枝につく花の配列状態、もしくは花をつけた茎または枝のことをいいます。通常、複数の花をなしているものを指してます。 ですので茎の先端にただ1個の花をつけただけの場合は花序をなさないということになりますが、これを花序型の一種と見る時は、単頂(たんちょう)花序と呼ぶそうです。

花序における花の配列様式には植物の種類に応じて一定の型があります。花序を分類するとさまざまな型が区別できますが、大きくまとめれば単花序複花序になります。さらに単花序は総穂(そうすい)花序集散(しゅうさん)花序に大別することができます。ここまでくると私たち植物の素人にはさっぱりわからなくなってきますね!ネットで分かり易いイラストを探してみました。コトバンクの中にあったので、転載いたします。名前を覚えるというよりこういう風に植物はできているんだとご理解頂ければ幸いです。

単花序 総穂(そうすい)花序

総状花序…小花が沢山円錐形に並んで咲いている。下から上に、外から内に咲く。花柄がある。

穂状(すいじょう)花序…花柄がない総状花序。( ※花柄(かへい)とは茎と花の間の小枝のこと )

肉穂(にくすい)花序…多肉な花軸に柄のない花がむすうに付いている。ミズバショウなど。

散房(さんぼう)花序…小花の集合体が水平に並んだもの。下部の柄ほど長いため。シモツケやアジサイが代表的。

散形花序…一点から放射状に花柄が伸びている。ネギの花が代表的。

頭状花序…ヒマワリやタンポポが代表的。

単花序(集散花序)

では先に進みましょう! 上のイラストの様に、軸の頂端が花となってその軸の成長が止まり、側枝の頂端が次の花となるのを反復してできた花序を集散花序といいます。

最後に、花序型が2回以上重複している花序を複花序といいます。

複花序

ここに挙げている花はどれも茶席で見かける花ばかりです。茶席の会話でお花の話題をする時にたとえ花の名前がわからなくとも、「この白い沢山花序がついておりますお花は何というお花でしょう?綺麗ですね!」という聞き方をすれば、聞かれた亭主も喜び、会話も弾み、良い雰囲気で茶席が進行していきます。正客が無言だと気分を害しているのか?とか興味がないのか?とか亭主は色々頭の中がモヤモヤしてしまうものです。花序という単語一つ使うかどうかで、同じことを聞くのも随分印象が違い、知性、教養を感じるかどうかの分かれ目と私は思います。

今日の茶花のカテゴリーで季節の花を紹介していますが、今日の基礎知識を使いながら見てみると、覚えやすくなるかも知れませんので、是非いくつかでも覚えて頂ければ嬉しいです。

コメントを残す

記事に関するご質問やご意見などありましたら下記のフォームよりお気軽に投稿ください。