無想庵コラムCOLUMN

野菊 十月の茶花

野菊 十月の茶花

秋の花と言えばやはり菊ですが、菊も椿並みに種類が多いです。市場に出回っている菊は栽培種で元は中国からの渡来植物です。今回は野生で咲いている野菊を取り上げたいと思います。植物分類には全く疎いのですが、調べたところ、野菊はキク科キク属のほかにシオン属やヨメナ属というものも含まれているのだそうです。よく似ているのに属が違うのは沢山あるので、こころ辺が植物分類が苦手な原因だと自分では思っています。そういうわけで、野菊の中でもよく使われているものを紹介します。

野紺菊(ノコンギク)と嫁菜(ヨメナ)

花の色は白か薄紫色が多いです。表紙の写真は紫の野紺菊です。キク科です。対して嫁菜はキク属アスター科ですが、それぞれ個体差が大きいので、色や形、大きさはあてにならないそうです。実際、私には区別がつきません。お茶席でも「野菊ですか」とお尋ねすれば十分だと思います。亭主がお答えくださいます。

専門家によると判別のポイントは,葉の手触りと,冠毛の長さにあるようです。ノコンギクの葉はざらざらしているのに対し,ヨメナの葉はつるつるしているそうです。実際、ヨメナは嫁菜と書き、若葉を食用にするくされているくらいなので,葉は優しい肌ざわりです。

また、もう一つの見分け方として冠毛の長さの違いです。頭花をほぐして,ひとつひとつの花を見るとわかります。冠毛というのは、タンポポなどの果実の上端に生じる毛状の突起のことです。 萼 (がく) が変形したもので、風を受けて飛び、種子を散布するのに役立っているのだそうです。
ノコンギクは、ふさふさの毛がついているのに対し、ヨメナには毛がありません。

十月頃は野紺菊やヨメナのほかに白山菊や浜菊など菊の仲間が頻繁に登場します。品種が区別つかなくても全然大丈夫!もしどれか一つでも名前が浮かんだら、お尋ねしてみましょう。どちらにせよ、大変勉強されている方と思っていただけるのは確かです。野に咲く花に心を向けられるということは、お茶の心がある証です。

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