無想庵コラムCOLUMN

寒菊 一月の茶花

寒菊 一月の茶花

寒菊(かんぎく)

菊の盛りは秋ですが、寒菊は シマカンギク(アブラギク)を改良した園芸品種だそうです。 通常の菊に比べて花期が遅く、十二月から一月にかけて開花します。 花は小さく、色は黄色、白、紅などで、別称も多く「霜見草」「雪見草」「のこり草」などとも呼ばれています。 茎や葉が霜に耐える性質があるのでこの時期に咲くのでしょう。同じ時期に咲いている遅咲きの菊や、咲き残る菊を総称して「冬菊」と呼びますが寒菊とは別物になります。

江戸時代の俳諧集「滑稽雑談」に「寒菊、花も葉も常の菊より細かなり。十月の黄花を開きて、臘月に至る。花なき時開くゆゑ、賞するにたへたり。京都は寒きゆゑ、その葉紅葉して、見るにたへたり」とあります。花の少ない時期に咲く希少さゆえに愛でられてきたのが伺えますね。厳しい寒さに耐え抜いて咲くキッパリとした潔さが美しい季語の花です。

お茶席でも冬は、椿ばかりで、それ以外の花はツワブキか寒菊くらいでしょうか?白い椿と黄色い寒菊の取り合わせは見栄えもしますし、アクセントが出ますね。また色違いの寒菊のみの組み合わせで床を飾るのも床がマンネリ化しないので、良いのではないでしょうか?秀吉も正親町(おおぎまち)天皇を招いて、「禁中菊見の会」という茶会を催したそうです。 因みに利休はというと菊が好きではなかったようです。

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