無想庵コラムCOLUMN

吾心似秋月 十月の掛け物

吾心似秋月 十月の掛け物

吾心似秋月(わがこころ しゅうげつに にたり)

出典は寒山という人が書いた「寒山詩」です。「吾が心、秋月に似たり」という句は日本でも大変有名なので、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?折角なので句の全文をご紹介いたします。

吾心似秋月、碧潭清皎潔無物堪比倫、令我如何説

吾が心 秋月に似たり。碧潭(へきたん)清くして皎潔(こうけつ)たり。物の比倫(ひりん)に堪えたるは無し。我をして如何(いかん)に説かしめん。

「私の心は秋の明月が青々とした湖の底まで照らして輝くのに似ている。これはどんなものとも比べることが出来ない。私はこれを説明する方法を知らない。」と言った意味になりますでしょうか?

情緒的には、暑い夏も過ぎ、秋の澄み切った月夜を見て、ちょっと寂しい感傷的な気分を表していると思っていましたが、禅語的にはもう少し違った意味を持っていると様です。禅語の専門書の解説によると、澄み切った心の本性、つまりは仏性の純粋さを説いているとのことです。

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