彩鳳舞丹霄 一月の掛け物
彩鳳舞丹霄(さいほう たんしょうに まう)
彩鳳 (さいほう)とは 五色の美しい鳳凰のことです。そして丹霄(たんしょう)とは 赤く染まった空のこと。出典は『禅林句集』で、その中の一文に「美しい鳳が彩雲ただよう天に舞う、何の瑞祥ぞ」とあります。夕焼け空のことかも知れませんが、赤く染まった美しい大空に、伝説の鳥、鳳凰が飛んでいるのは何か良い事の起こる前兆だ、だからものすごく目出度い。というような意味になります。
鳳凰は聖天子(せいてんし)が世に現れた時に出現する瑞鳥(ずいちょう)とされ、天下太平、平穏無事を表すお目出度い言葉として、初釜式などお正月のお目出度い席によく掛かります。
芳賀幸四郎氏の『新版一行物』には、「……めでたいものとしてよく年頭の茶会でお目にかかるものである。(中略)この句は『五色の翼をもつ鳳と凰との一双が、天下泰平・万民和楽の聖代を祝って出現し、雲一つない天空に悠々と舞い遊んでいる』という意味である。(中略)聖代を祝ったもので、仏教のいわゆる事々じじ無礙むげ法界ほっかいの消息をたたえた句である」とある。と説明されています。因みに鳳凰はオスとメスのつがいだったのですね。 私もこのお軸を始めて拝見した時に先生に教えていただきました。 鳳がオスで凰がメス、羽毛は五色で、すべての鳥がこの鳳凰に従うということだそうです。鳳凰が飛ぶとは夫婦の仲睦まじいことの例えだそうです。