無想庵コラムCOLUMN

春在一枝中 二月の掛け物

春在一枝中 二月の掛け物

春在一枝中(はるはいっしのうちにあり)

冬も終わりに近づくころ、庭の梅の一枝に咲き始めた花を見てもうその中には春が満ちているな~という意味です。春の訪れを喜んでいる詩ですね。この詩は「探春詩」と題する詩の一節です。

樹木が 花を付けるのは、次の世代を残すための営みですが、植木職人さんによると、前年に水や肥料など十分な環境を与えられていると、木そのものは成長しますが、花芽は多く付かないそうです。

この詩も禅語ですので、その言葉の奥に込められた意味を探求したいと思います。何事も「時節因縁が熟さないと物事はならない」と言われています。つまり春に花が咲くためには、その時節に到るまでの、基本的な「因(内的原因)」とそれをならしめる「縁(外的原因)」が必要なのだということです。

春が来たことを素直に喜ぶ詩ではありますが、人生において現在良好であれば、 努力が実ったと所縁に感謝し、苦しい時期であるなら、努力すれば必ず花開く時が来ると信じて、なお一層の精進をして、所縁を頂けるよう頑張りましょうというエールだと私は解釈しています。

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