無想庵コラムCOLUMN

松樹千年翠  一月の掛け物

松樹千年翠  一月の掛け物

松樹千年翠

しょうじゅ せんねんのみどり   出典「続伝灯録(ぞくでんとうろく)

松の緑は春に新しい芽が出て、古い葉は枯れて散ってしまいますが、見た目はいつ見ても緑のままです。常に新陳代謝を繰り返しながらも千年(千古)?変わらぬ生命を持っているわけです。私たち人はいつまでも変わらない松の緑に託して長寿や多幸を願う気持ちが込められた一行です。

直訳すると、松の木は千年変わらぬ緑色 となります。松竹梅と昔から言われるように、おめでたさの象徴的な存在ですので、新年のお茶席に相応しい掛け物と言えるのではないでしょうか?

実はこれには下の句があって、「時の人の心に入らず」と続きます。松が幾多の風雪にも屈することなく緑を保ち続けている堅固さに世の人々は気づいていないという戒めの言葉です。おめでたい言葉なので祝いの席でよく掛かりますが、めでたいという浮かれた気持ちだけで終わってはいけないということを心のどこかに持ちたいと思います。禅語は生き様を問われているような結構厳しい意味が含まれているんですね。

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