無想庵コラムCOLUMN

松無古今色 十一月の掛け物

松無古今色 十一月の掛け物

松無古今色(まつに ここんのいろなし)

松無古今色」は元々は、6月に紹介した「竹有上下節」との対句の禅語です。

「松無古今色 竹有上下節」(松に古今の色なし 竹に上下の節有り)

禅語辞典によると、原文は竹の句が先で松の句が後となっています。伝言ゲームみたいにいつの間にか入れ替わったのでしょうか?「色」に「変化」という意味を付け加えてとらえて訳してみると分かり易いです。

「松の緑は時が経ても変化することがない。竹には節により上下の違いがある。」

一般的な解釈として、松の緑の不変は「平等」を表し、竹の節のあることは「区別」を表していると解釈されています。

ただし、松の葉はずっと同じ葉ではなく、古葉は抜け落ち、若葉が新しく芽吹いて来ています。不変に見えるけど実は変化、新陳代謝がある訳です。(交替はあっても、)季節の移り変わりの中でもその翠を保ち、古松に見る年月を経ても翠は変ることの無い一色平等であるという訳です。

この禅語は「不変」と「変化」が同時に存在すること、そして対句では「違い」と「平等」が同時に存在することを示してくれています。

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