無想庵コラムCOLUMN

松風颯々聲 七月の掛け物

松風颯々聲 七月の掛け物

松風颯々聲(しょうふう さつさつのこえ)

普段、自然に耳を傾けていないとなかなか分かりにくい情景かもしれません。松風とは、松に吹く風、松の葉を揺らす風のこと。

次に禅語にはよく出てくる颯々。 「さっさっ」と松に吹く風を表現しているのだそうで、さわやかなサウンドを現わす言葉を「さつさつ」と捉えていただければ良いかと思います。

「聲」とは、常用漢字の声、音という意味です。

風が松の間をさっと通り抜け、その音に心静かに耳を澄ますと、身も心も松風につつまれて、時を忘れて清々しく穏やかな境地になる。という意味合いです。

普段の生活で、風が揺らす木の葉の音は聞こえてきませんが、その音が聞こえるのは、忙しい状態「忘我」の状態から、ほっと一息「我に返った」瞬間、リラックスした状態ではないでしょうか?。

お茶の世界では、釜の湯が煮えた時の釜が奏でる音も松風と言いますので、私などはこの掛軸を見ると自然に心の中に松風が聞こえて来て、心が静かに落ち着いて来て、お茶席に望む気持ちにさせてくれます。またお客様の方もこれから日常とは違う場に入るという心持になれば素晴らしいことだと思います。

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