無想庵コラムCOLUMN

名利共休 四月の掛け物

名利共休 四月の掛け物

名利共休(みょうり ともにきゅうす)

名利とは名聞利養の略語?です。先ず、名聞とは名誉が世間に広がる事を表していて、利養というのは財を追い求める事、つまり利益を欲しがるという事ですね。休すとは休止の意ですが、ただ止まるだけでなく、自らの意志で断ち切るぐらいの強い意味があります。共にですから、名誉を欲する気持ちや利益を求めるような生き方を両方と止めるようにと諭しているわけです。財欲や名誉欲、色欲、食欲など、人間の欲望 には際限がありません。名誉や利益を追い求めることを止められたら本当に出来た人間なれると思いますが、中々100%とはいかないですよね。この両方をきれいさっぱり欲しないように捨てることが出来れば、多分楽に生きていくことが出来るでしょう。

千利休の「利休」は禅の師匠で古渓宗陳(こけいそうちん)和尚から頂いたものですが、この名利共休がその名の由来とされているみたいです。利休は堺の商人でしたし、最高権力者の側近でしたから、地位も名誉も財産も全て持っていましたが、晩年には質素で無欲な生き方を実践されたのではないでしょうか?命や財産が惜しければ、秀吉の怒りを買ったとき切腹などせず、あっさり謝ってしまっていたでしょうから。400年以上経っても未だ尊敬される千利休、最後は「名利共休」を体現されたが故かも知れません。

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