無想庵コラムCOLUMN

菊慈童 十月の銘

菊慈童 十月の銘

菊慈童(きくじどう)

菊慈童というは、菊によって長寿を得た少年のことです。 古代中国で皇帝に仕えていた慈童という少年は、皇帝の枕を跨いでしまった為、懲罰を受け、危険な山奥に追放されてしまいました。慈童はお経の文字を書いた菊の葉から落ちたしずくを飲んだところ、700年もの間少年のままで過ごした、という伝説です。 能の演目にもなっています。

この菊慈童の伝説が、後に菊が不老長寿の妙薬とされていき、旧暦の9月9日が菊の花の咲く時期から菊の節句とも言われるようになったのです。
有名な話としては、重陽の節句の前日に菊の花に『着せ綿』を載せて露を吸い取り、節句の日に綿で体を拭くと長寿を保つと伝わっていますよね。
現代でも、菊の花びらを浮かべたり、菊の露の入った菊酒を飲み、不老長寿と無病息災を願っています。

本来なら九月に取り上げようかとも思いましたが、ちょうど今の時期が本来の旧暦の九月で菊が咲くころですし、重陽の節句があんまりにも有名で菊慈童のお話も被ってしまうので、あえて今月にしてみました。ネタとしては来年まで覚えておかないとお茶席では話題に出ませんが…(笑)

菊慈童はかなり美少年だったそうですが、どの絵も髪が長いだけの幽霊のような人相に描かれているので、お茶目な焼物の菊慈童にしてみました。

コメントを残す

記事に関するご質問やご意見などありましたら下記のフォームよりお気軽に投稿ください。