無想庵コラムCOLUMN

遠山 五月の銘

遠山 五月の銘

遠山(とおやま)

字の通り、遠くに見える山のことです。遠くに連なる山並みの美しさや幽玄さを象徴している言葉です。

恐らく、昔の人は遠山のイメージが春を感じさせたのだと思います。個人的にも遠くに見える山並みが霞にまみえて幻想的な感じを醸し出している風景が目に浮かぶので、4月から5月に使う銘としてぴったりだと感じています。

裏千家の代々の宗匠も手づくねで赤楽茶碗お作りになっていて、右の写真は裏千家六代六閑斎の自作の赤茶碗だそうです。 口辺(くちべり)  の凸凹が山並みの稜線に見立てて遠山と銘打ったのか、それとも茶碗全体から醸し出されるイメージが遠山だったのか、私にはわかりません。

銘はインスピレーションなので、作者の感性によるものですが、私もこの楽茶碗から受けるイメージは遠山が相応しいと感じています。

裏千家14代宗匠の淡々斎も自作の赤楽茶碗に「遠山」という銘をお付けになられていますが、その箱書きに

山遠き 霞のにほひ くもの色  花の外まで かをる はるかな』という歌を書き添えていらっしゃいます。

銘ではないですが、淡々斎好みの『遠山棚』というのもあります。確かに山の稜線のような意匠が施されていますね。私はまだこの棚でお点前したことがないのですが、見た感じ普通の二重棚ですので、特別な扱いはしなくて大丈夫だと思います。

(後日、機会があれば調べて違うようであればまた記事にします。)

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